信頼性が低い中国の経済統計
日本企業の動向から探る真の動向
トランプ米大統領は日本の大型連休中、中国の輸入品に追加関税を課す意向を表明した。米中貿易摩擦が激化する様相をみせたことで、回復期待のあった中国経済の先行きにも再び暗雲が漂っている。
しかし、そもそも中国経済に本当に回復の動きがあったのだろうか。中国の実質GDP成長率は、2019年1-3月期に前年同期比+6.4%となり、4四半期ぶりに下げ止まった(図1参照)。しかし、筆者は以前から中国のGDP統計は、あくまで参考程度にみるべきものと考えている。
GDP統計は、各種経済統計から推計されて求められるもの(二次統計)で、新しい統計が出るたびに、推計の見直しや過去発表分の修正が行われる。日本の場合、GDP統計は四半期ごとに1次速報と2次速報が発表され、米国では四半期ごとに速報値、改定値、確報値と3回も発表される。ところが、中国のGDP統計は一度発表されたら見直されることがない。GDP統計に経済動向を正確に反映させる努力を放棄し、自ら参考値と認めてしまっているようなものだ。
中国では投資関連統計が水増しされているという疑惑も絶えず、相手国がある貿易統計を除くと、参考程度にみた方がよいだろう。そこで、中国経済の実態を把握する1つのアプローチとして、最前線でビジネスを展開する日本企業の中国での受注動向、会社側のコメントを丹念に拾い、実像に迫っていく方法を紹介する。
今回は、筆者が集めたそれらの情報から、直近の中国経済の動向を探ってみたい。