携帯電話を充電できない?
北柏駅の日高屋で驚いたこと
8月中旬、うだるような暑さのなか、私は介護施設を視察する中国国内の投資家などの関係者を連れ、千葉県のJR北柏駅に降りた。地元関係者と約束した合流時間までかなり時間的余裕があったので、駅の近くにある中華レストラン「日高屋」に入り、冷えたビールでも飲みながら、時間をつぶすことにした。
スマートフォンの電池が切れそうになったので、充電しようかと思った私は、「たぶん、無理だろう」と思いながら、壁の下の方にあるコンセントに目をやった。案の定、コンセントはわざと使用できないように塞がれている。私の仕草に気づいた中国の投資家も、それを不思議そうに見つめていた。私は説明した。
「お客さんが勝手にそのコンセントを使って充電すると、店の方は余計な電気代を支払うことになる。それが嫌だから、コンセントをこのように塞いで、使わせないようにしているのだ」
投資家は、ますます理解できなくなってしまったようだ。「このわずかな電気代のために、日本人はそんなことまでするのか」と質問してきた。それに対して私は、「この現象を捉えるときの視点によって、見方が違ってくるのだ」と断ったうえで、説明を続けた。
「日本では、お店側などの施設の許可を得ずに充電すると『盗電』とみなされ、訴えられたケースもある。しかし、中国ではまずそんな目に遭わずに済む。いやむしろ、レストランなどの店側は積極的にお客さんの携帯電話機に対して充電サービスを提供している。レンタル用のモバイルバッテリーを用意している店も多い。
お客さんはアリペイやWeChatPayなどで利用代金を支払うので、スマホの充電関連のサービスを提供しないと、支払いができなくなる恐れがある。だから、こうしたサービスの提供はむしろ徹底しているのだ。とはいえ、日本の店は決して経費節約しか考えていないという単純な話ではない……」