先日発表された10月の米国雇用統計は、過去分の改定を含めて雇用環境が良好であることを示す内容であった。7-9月期GDPも、成長率は前期から鈍化したものの実力程度の成長を維持、米国経済は底堅く推移している。
FOMCは内部で意見が分かれる状況で10月に3回目の利下げを実施したが、今後の打ち止めを示唆した。インフレ圧力が徐々に強まる中、大統領選挙までは金利が据え置かれる可能性がある。
10月雇用統計できる
雇用環境の力強い改善
10月の米国雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月から12.8万人の増加と、2019年に入ってからの平均的な増加幅である約17万人を大きく下回った。しかし、8月、9月分が改定され、それぞれ+21.9万人(改定前:+16.8万人)、18.0万人(改定前:+13.6万人)と大幅に上方修正された。9月分公表時点で雇用に減速懸念が生じたが、この改定を受けて少なくとも9月までは雇用が減速していなかったということになるだろう。
さらに直近である10月分に関して業種別に見ると、製造業は前月差▲3.6万人と2ヵ月連続で減少、さらに9月分からマイナス幅が拡大した。大幅減となった主因は同▲4.2万人となった自動車・同部品セクターであり、自動車関連を除くと製造業はわずかながら増加した。
自動車関連はゼネラルモーター社従業員のストによる影響が大きかったとみられる。しかし、10月25日に労働協約が承認され、40日に及ぶストが終結したため、11月は自動車関連での反動増が見込まれる。
雇用の大半を占める民間サービス部門は同+15.7万人と、9月(同+16.0万人)と同程度の増加ペースであった。宿泊・飲食などレジャー関連を筆頭に、幅広い業種で雇用が拡大した。