昨年(2019年)終盤は世界的に株価が上昇し、年末の日経平均株価は29年ぶりの高値で引けた。筆者は今年(20年)の日本株が一段高を目指すとみているが、株式相場には当然リスクが伴う。以下では、20年に発生する可能性が高く、発生した際に日本株市場に大きな負の影響を与えると筆者が考える5つのリスクを解説する。
【リスク1】原油価格
需給の両面からの上昇圧力
いくつかの機関・組織が公表した20年の原油価格見通しでは、世界経済の減速という原油価格下押し要因と、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟主要産油10カ国からなるOPECプラスの減産という価格押上げ要因が拮抗し、原油価格の横ばいを見込む予想が多い。しかし筆者は、大方の見方に反し、20年の原油価格は上昇に向かう可能性があると考える。
理由の1つは供給懸念だ。昨年来すでに悪化していた中東情勢は、年初に米軍がイラン革命防衛隊の精鋭部隊司令官を殺害したことで、一気に緊迫感が高まった。イラン側は報復の可能性を示唆しており、緊迫感の高い状況が続きそうだ。産油国が集中する中東での供給懸念の高まりは、原油価格の上昇圧力となるだろう。
原油価格が上昇すれば、米国でシェールオイルが増産され、上値は抑えられるとの見方もある。しかし米国のシェールオイルは近年の増産による乱獲で、優良鉱区がすでに減少したとみられる。米大統領選挙に挑む民主党の一部候補は、環境破壊につながるとしてシェール採掘に使われるフラッキング(地下に高圧水を注入して岩盤を砕き採掘する方法)の全面禁止を訴えており、今後価格が上がっても増産が困難となる可能性がある。