麺類業態のチェーン店が多業態化戦略に走りだしている。背景にあるのは国内麺類業態の店舗数が飽和状態という危機感だ。新業態の立ち上げやM&Aなど、各社は次の手を模索している。特集「外食の王様」7皿目では、ハイデイ日高の高橋均社長、ダイタンホールディングスの丹有樹社長、リンガーハットの佐々野諸延社長のインタビューとともに、麺類業態の生き残り策を占う。
ラーメン店の倒産は過去最高水準
市場飽和で始まる他業態化
脱サラしてラーメン店をオープン、人気店になって人生大逆転――。
サラリーマンの“第二の人生”の選択肢として根強い人気を誇るラーメン店。だがこうしたサクセスストーリーを体現できる人は今も昔も一握りだ。
帝国データバンクによれば、ラーメン店を含む「中華・東洋料理店」の2019年の倒産件数は11月末時点で96件。過去最高を記録した17年と同水準の数字だ。
背景にあるのは、市場の飽和だ。日本フードサービス協会によれば、18年のラーメンやうどん、そばなど麺類の店舗数は、前年比2.4%増加。外食全体の店舗数の伸びの同0.4%を上回る。
ところが、売上高を見ていくと、外食全体の前年比2.3%増に対して、麺類は同1.5%増と業界の成長を下回る水準なのだ。
参入しやすいために店舗数が増加して飽和状態になり、市況が悪化する――。麺類を取り巻く状況に、大手チェーンも頭を抱える。
「既存の業態をこれ以上増やすのは難しい。第二の柱を早くつくりたい」(大手チェーン幹部)
危機感を募らせる大手チェーンが、生き残りのためにかじを切るのは「多業態化」だ。