長引く低金利環境は、地域銀行の収益機会をむしばみ続けてきた。そんな中、大分県の第二地銀である豊和銀行が、融資と預金に続く第三の道として企業の販路開拓支援に取り組み、金利の改善を実現している。特集『選別される銀行』(全15回)の#10では、その勝因を権藤淳頭取に聞く。(聞き手/ダイヤモンド編集部 田上貴大)
経営不振で180億円の資本注入
豊和銀行の地域密着の原点
――地域密着という言葉一つを取っても、地域銀行によって取り組む姿勢に差があると感じます。規模が小さい第二地方銀行の方が積極的なように映りますが、権藤頭取の考えを聞かせてください。
銀行ごとに歴史や取引先が違うので一概には言えないが、私たちの銀行は財務基盤が厳しかった2006年に90億円の公的資金が入った。同時に地元でも同じ90億円の資本調達を行い、合計180億円の資本注入に至ったが、そのうち60億円が地元の大分県を中心とした700近い法人と個人の顧客からだ。
300万円から5億円という幅で、返ってこないかもしれない投資をしてもらい、私たちの経営危機が救われたという過去がある。今度は彼ら顧客が厳しくなったときに、私たちは当然救わないといけないという恩義がある。それが原点だ。