選別される銀行#13Photo by Takahiro Tanoue

地域銀行の上場の是非が問われるさなか、株式会社ではなく協同組織金融機関の形態を取る信用金庫や信用組合の取り組みに注目が集まっている。特集『選別される銀行』(全15回)の#13では、地域密着路線を突き詰める京都信用金庫の榊田隆之理事長に、独自の取り組みを聞いた。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

三菱UFJ銀や京都銀には負けられない
京都信金の榊田理事長が語る「必死」の覚悟

――京都信用金庫は、他の金融機関に先駆けて2017年4月に営業ノルマを廃止したことが注目されました。地域銀行のような株式会社だと、収益目標を株主に約束しなくてはいけません。それを左右する業績評価を試行錯誤しながら変えられるのは、協同組織金融機関だからなのでしょうか。

 微妙なところだが、私はそうではないと考えている。私たちも預金取扱金融機関であり、地域の顧客からお金を預けてもらうには信用しかない。信用力を保つには、一定の利益を上げ、健全な経営状況を維持する必要がある。さらに、スマートフォンバンキングの提供も要るし、(金融とITの融合分野である)フィンテックに対応できていないと顧客からそっぽを向かれる。

 こうした基準は全ての金融機関で同じであり、京都府内で三菱UFJ銀行や京都銀行に劣後するわけにはいかない。そうした金融機関と比べた上で、京都信金と取引したいと思わないと誰も取引してくれない。対抗するために、私たちも必死だ。