コロナ危機のタイミングで決算に「継続疑義」の注記が付く不動産会社が出てきた。2008年のリーマンショックでは大量の不動産会社が破綻した。悪夢はよみがえるのか。特集『バブル崩壊 不動産withコロナ』(全12回)の#7では、最新決算から上場不動産会社の経営危険度をランキングした。(ダイヤモンド編集部 臼井真粧美、大根田康介、竹田孝洋)
THEグローバル社に「GC注記」
借金の返済と融資交渉に追われる
中堅不動産会社であるTHEグローバル社は、5月に発表した2020年6月期第3四半期決算書にゴーイングコンサーン(GC)の注記が付いた。GC注記は、企業が事業を継続するかどうか疑わしい状況になっていることを意味する。
同社はマンションや一戸建ての開発や分譲などに加えて、近年はホテル事業に乗り出していた。そのホテル市場は、インバウンド需要を狙った建設ラッシュが起きて供給過剰になった。そこをコロナ危機が襲い、宿泊や旅行などの需要は消えた。
不動産ビジネスでは、借り入れた資金を物件の仕込みに回し、それを売却したり、自ら運営したり、賃料収入を得たりしてキャッシュを稼ぎ、借金の返済に充てる。そして、また借りて次を仕込む。
売却や運営、賃料からの収入が落ち込むと、借金を返せなくなったり、資金繰りに窮したりすることになる。それがTHEグローバル社だ。
同社は、返済期限が迫っている借金の返済期日延長や追加融資交渉に追われている。事業を継続する資金が必要であっても、金融機関などからの新たな資金調達について確実な見通しが得られない状態だ。
一口に不動産業と言っても、自社で長期に保有する不動産からの賃料が収益主体だったり、不動産販売から得る収益が主体であったりと、各社それぞれのビジネスモデルがある。不動産を買うボリュームや売却するタイミング、借金によるレバレッジの掛け具合もそれぞれだ。事業が追い風のときは、各社なりにカネも事業も回る。
しかし、である。コロナ危機により、バブルの様相を呈していた不動産市場は冷え込みを見せ始めた。ホテルや商業施設からの運営収入や賃料収入あるいは販売収入は計画通りに得られるものではなくなった。オフィス市場も曲がり角に立った。
逆風の局面において、キャッシュを生む力が弱く、在庫を抱え、有利子負債が重いと、三重苦となって経営の危険度を高める。
キャッシュを出さず、在庫や有利子負債が膨らんでいても、足元ではコロナの影響を受けずに業績が良い企業、イケイケの企業もあるし、「飯の種である在庫を抱えてなんぼ。レバレッジを掛けてなんぼ」(不動産会社幹部)という世界であるのも確かだ。しかし、市場環境が冷え込めば、そうしたスタイルのリスクが表面化する。
そこで、上場不動産会社134社について経営危険度を測るランキングを作成した。