2020年の米国大統領選挙は、4年前にも増して混迷を極めている。続投を狙う共和党候補のドナルド・トランプ大統領か、それとも民主党候補のジョー・バイデン前副大統領か。戦況が見えづらい中、トランプ陣営の大統領選挙アドバイザリーボードでもある著者が「内側」から見た米国大統領選挙の実情を解説する(著者がまとめたトランプ後の米国と中国、そして日本の未来については新刊『NEW RULES――米中新冷戦と日本を巡る10の予測』で詳報する)。連載2回目となる今回は、大統領選挙まであと2週間となったバイデン候補は今回の選挙でいち早く民主社会主義を掲げるバーニー・サンダース上院議員と組んだ。なぜ今、民主社会主義が米国の有権者を魅了するのか。
トランプ、バイデン両陣営
どちらが勝っても米国の混迷は進む
米大統領選挙の投票日となる11月3日まで、あと2週間弱となった。
世間が騒ぐような、トランプ陣営とバイデン陣営、それぞれの個人攻撃の嵐とは別に、改めてこのタイミングで、米国社会の構造とその変化についておさらいしておきたい。
今回の選挙でどちらが勝つにせよ、米国ではこの先、社会の混迷が進むのはほぼ間違いない。そしてきっと2022年の中間選挙や24年の大統領選挙では、共和党と民主党が互いに罵声を飛び交わすような戦いになることは必至だと考えられている。
仮に共和党が勝利すれば、トランプ政権はこれまでの政策を一段と進める予定である。その一方、民主党が勝てば、彼らは前回(16年)の大統領選敗北の反省からジョー・バイデン候補がバーニー・サンダース上院議員と政策協定を結んでいるため、いよいよ本格的に「民主社会主義」を始めることになる。
新政府の実際の政策が表に出てくる21年以降は、どちらが政権を持ったとしても、スタート段階から混乱が生じることは間違いないだろう。