都市型EVとしての性能に偽りなし
試乗したのは「ホンダeアドバンス」という上位モデル。バッテリー容量は35.5kWh。最大出力は113kW(154PS)/315Nm(32.1kgf)。航続距離はWLTCで259kmというスペックだ。今回の総走行距離は404km。返却時のインパネのメーター読みで電費は6.3km/kWhだった。
率直な印象としては、ホンダがいう「都市部での実用性に問題はない」という説明はウソではなかった。そして、個人的には都市型EVよりもスポーツモードを楽しむEVとして評価したいという点だ。
試乗は、市街地、一般道、高速道路、ワインディング(箱根)、渋滞など主だったシチュエーションはすべて取り入れるようにした。404kmのうち70km以上は箱根の旧道や椿ラインなど勾配とカーブがきつい道だ。ホンダeにはドライブモードが2つある。通常走行のノーマルモードと走りを楽しみたいときのスポーツモードだ。平均的な山道ならノーマルモードでもパワー不足を感じることはないが、椿ラインなどはスポーツモードで電費を気にせず走行した。それを含んでの6km/kWh台なら悪い数字ではない(箱根に行く前の平均電費は7.1km/kWh)。
ホンダeが国内の充電インフラに適している理由
バッテリー容量の35.5kWhは、普通充電でも一晩(8~10時間)あれば0%から100%まで充電可能だ。今回自宅で残量30%から100%まで充電(200V 3kWh)したが、充電時間は9時間30分。料金にしておよそ500円だった。走行可能距離は223kmと表示された。じつは、40kWh前後のバッテリーは、充電時間・コストともに大容量のバッテリーに比較して、充電の効率がよい。
車両のバッテリー容量が大きくても、充電器の出力が小さければ充電に時間がかかる。充電器の出力が大きく、バッテリー容量が大きくても、車両側の充電能力がひくければ、やはり充電時間は最適とはならない。
現在、国内の急速充電器は20~50kWhのものが多く、90kWhのものが出始めてきたところだ(将来的には100kWh以上も計画されている)。この状況は、大容量バッテリーを搭載するテスラや輸入車EVにはパワー不足で、車両のバッテリー性能を生かしきれない可能性がある。
ホンダeやリーフ(40kWh)のバッテリー容量は、普通充電でも数時間で100%にでき、急速充電の満タン目安である80%にも到達させやすい。一般論として、現状の国内充電インフラに合っているといえる。