2021年以降の米国と中国の行く末はどうなるのでしょうか。私は2001年からホワイトハウスや国務省、財務省など、米国の政権の中枢で政策の立案・実施を担う現役官僚やOB/OGたちと仕事をしてきました。主に共和党の立場で、大統領選挙などの分析や応援もしてきました。トランプ陣営の大統領選挙アドバイザリーボードも務め、米国人のリアルな思考を理解し、米国と世界を動かす原理原則や、彼らが実践しようとしている新しい世界のルールについて日頃から肌で感じています。これら先、世界はどう変わるのか、本連載では私の著書『NEW RULES――米中新冷戦と日本をめぐる10の予測』で紹介した米国と中国、世界、そして日本の2021年以降の行く末についてご紹介しましょう。連載2回目となる今回は、2021年にバイデン新政権になっても引き続き緊張関係が続く米国と中国について。
本連載では、これからの米国と中国、世界、そして日本がどんな方向に進むのかについて私の見解を示します。
大国として存在感を高める中国に、米国はどう立ち向かうのか。
米国と中国の新冷戦によって振り回される世界はどうなるのか。
岐路に立たされる欧州連合(EU)や英国、ポピュリズム政党が力を増している欧州各国、そしてこれまで親米派を続けてきた日本の行方はどうなるのでしょうか。
2020年の大統領選挙後、第二次世界大戦の終結から75年にわたって世界をリードしてきた米国はどうなるのでしょうか。
人種差別問題からトランプ大統領の後継者問題など、幅広く見ていきましょう。
米中新冷戦が2020年以降の世界を動かす
2020年3月末時点で、中国は1兆816億ドルの米国債を保有しています。これは1兆2717億ドルを保有する日本に次いで2番目で、米ドル債全体の約16%を占めています。香港が2453億ドル保有していますので、香港を中国の一部と仮定すれば、中国は実は世界最大の米国債保有国なのです。
もし中国がこの米国債を売却すれば、米国債市場は大混乱に陥り、米国は新発債(新規に発行される債券)を出せなくなる可能性があります。日本に中国の売却分をすべて買うほどの余力はありませんし、中東などの親米国を動員しても衝撃を留めることは無理でしょう。つまり中国は米国の最大の弱みを握っているとも言えます。
しかし果たして、本当に中国は米国債を売ることができるのでしょうか。