総合商社の環境対策が実態と乖離、本当に評価できるのはどこだ?総合商社の環境対策は本当に“評価”できるのか Photo:PIXTA

近年「ESG投資」への注目度が高まる中で、総合商社もESGに関する取り組みを強化し、その内容を積極的にアピールしている。しかしながら、公表される数値を見ると、商社の “ビジネスの実態”に伴った内容であるとは言い難い面もあるという。その理由とは何か。また、ESGの観点から取り組みを評価できる企業とはどこなのか。データをもとに解説する。(大和証券エクイティ調査部シニアアナリスト 永野雅幸)

総合商社のESGへの取り組みは
本当に評価できるのか

 ESGのE(Environment、環境)の観点で重要度を増してきているのが気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への対応である。総合商社各社は、日本の産業界の中でその取り組みは早いと言えよう。

 2015年12月のパリ協定を受け、金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」は2017年6月に最終報告書(以下「TCFD提言」)を公表。各国で多くの企業がこのTCFD提言への賛同する中、日本でも、17年12月に金融庁、18年7月に環境省、同年12月に経済産業省がTCFDガイダンスを公表し賛同表明した。