日本銀行(日銀)は、デフレ体質からの脱却を目指し、金融政策の限界に挑戦し続けてきた。1998年の金融危機時には、世界の中央銀行に先駆けて資産購入を開始。マイナス金利政策こそ欧州に遅れを取ったが、2016年には国債買入額の削減を補うためにイールドカーブ・コントロール政策を導入。2010年に開始した上場投資信託(ETF)の買入れにいたっては、日銀以外の主要中央銀行はどこも採用していない異例の政策を実施している。
その日銀が、今年3月を目途に政策点検を行い、ETFの買入政策を見直す。報道によれば、相場上昇時には買入額を縮小するなど、政策運営に柔軟性を持たせることが狙いという。
中央銀行が株式市場に直接介入する「禁じ手」とも言える政策を、いつまでも続けられるはずがない。黒田総裁の任期が満了する2023年4月まで、残りあと2年。在任中にETF買入れのテーパリング(資産買入額の減額)に踏み込むなら、今がラストチャンスだ。政策変更によって市場が動揺するリスクはあるが、筆者は以下に述べる3つの理由から、市場はテーパリングに対応できると予想している。
(1)効果に乏しい政策なら、停止しても悪影響は軽微
(2)長期的な株価水準を決めるのは、需給でなくファンダメンタルズ
(3)市場は十分な情報があれば、柔軟性・創造性を発揮する