ロイヤルホストを運営するロイヤルホールディングスは、外食事業の他にもホテル事業や機内食事業など分散経営を行い、リスクに強いとされていた。しかしコロナ禍で全事業が壊滅し、総合商社の双日からの出資を受け入れた。特集『外食大再編』(全8回)の#4では、双日との資本業務提携の裏側と今後の復活策を菊地唯夫会長が明かす。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
資本調達は「機が熟す」ことが大事
昨年5月から“バンクアイデア”で探した提携先
――双日との資本業務提携を2月15日に発表しました。資本業務提携はいつから視野に入れていたのですか。
2020年5月です。双日との話が出始めたのは9月でしたね。
――発表は翌年の2月と時間が空いています。なぜでしょうか。
資本調達は「機が熟す」ことが結構大事なのです。昨年5月から進めていたのは、具体的に幾らの調達をするかという話ではありません。
私は前職が金融ですから、投資ファンドや投資銀行、証券会社などさまざまなネットワークがあります。そうした方々にこんな問い掛けをしていました。「もしうちが資本業務提携を結ぶとしたら、どんなパートナーがあると思いますか?」と。
そうすると、「こことかあり得るんじゃないですか?」と言ってきますから、「では、(金融機関側が企業などに提案する)“バンクアイデア”で聞いてみてください」と伝えていました。
ロイヤルホールディングス(HD)が(表立って出資先を)探しているとなると、すぐに信用不安になってしまいます。場合によっては株を空売りされる可能性もある。ですから、金融機関のアイデアとして(提携候補に)聞いてもらっていたのです。
「ロイヤルは結構厳しい状態みたいなので、今だったら資本提携のチャンスがあるかもしれないですね」といった具合で打診してもらい、可能性がありそうとなったら、直接話をするという流れを取っていました。
資本業務提携先として、こういう会社があるかもしれない、ファンドはあるかもしれないな、という候補のピックアップを昨年5~8月の間は続けていました。