1億総リストラ#10Photo:Alexandra Krull/EyeEm/gettyimages

名門レナウンがつぶれ、他の大手アパレルメーカーもリストラを繰り返している。コロナ禍はさらに追い打ちをかけた。アパレル業界は一部の勝ち組を残して大不況に陥っている。特集『1億総リストラ』(全14回)の#10は、総合商社で働く人々にも及ぶリストラの実態を追った。(ダイヤモンド編集部 松野友美)

アパレル早期・希望退職ラッシュ
募集人数以上の応募があった

 アパレル大手の名門レナウンが昨秋に倒産した。同社や三陽商会など百貨店系ブランドを展開してきた老舗アパレルメーカーは厳しい状況にある。コロナ禍が追い打ちをかけたが、アパレル不況が始まったのはそれ以前。消費者の価値観の変化に追い付けずに廃れてきたのである。

 東京商工リサーチの調査によると、上場大手アパレルでは、オンワードホールディングス(HD)、ワールド、TSIHD、青山商事が2020年に早期・希望退職者を募集した。いずれも募集人数以上の応募があったことが、見通しの暗さを物語っている。詳細は後述するが、社員の多くを占める販売職がもともと将来のキャリアを見いだせずにいて、見切りをつけたということもある。

 21年に入ってからは三陽商会、ワールドのグループ会社、デサントが希望退職を募集している。

 三陽商会は13年度以降4回目の募集になる。今回は昨年12月に早期退職として募集したものを、1カ月後に希望退職募集に移行している。早期退職募集での対象は、40歳以上の正社員。販売職は除外された。それが希望退職募集では、全従業員に対象が広がった。

 アパレルメーカーで早期・希望退職ラッシュが続くさなか、彼らが使う素材の輸入や商品企画に携わるといった取引をしてきた商社も動き見せた。