台湾の鴻海精密工業といえば、アップルの重要なパートナーだ。iPhoneでの大躍進を夫唱婦随の大量生産で支えてきた。この鴻海がアップルカー構想の進む今、EV(電気自動車)の巨大連盟を構築している。特集『アップル 車の破壊者』(全5回)の#4では、鴻海のEV連盟に加盟する日本企業の実名を一挙公開する。(台湾「財訊」 陳 雅潔、林 苑卿、翻訳・再編集=ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)
アップルを支えてきた
鴻海が築くEV連盟
2020年末、EMS(電子機器受託製造サービス)世界最大手の台湾企業、鴻海精密工業(ホンハイ)はある「グッドニュース」を発表した。鴻海が手掛けるEV(電気自動車)のソフトウエアとハードウエアの独自開発プラットフォーム「MIH」に、国内外の201社がすでに加盟したというものだ(現時点の加盟社は1200社を突破)。さらに、21年1月には開発ツールプラットフォームの「EV Kit」が始動し、2月に世界のデベロッパーから予約を受け付け、4月末にはツールが納品されるとも発表した。鴻海にとっては、EV市場での重要な一歩となる。
20年は鴻海のEV元年といってよいだろう。2月に台湾の自動車大手、裕隆集団(ユーロン)と戦略資本提携を発表、3月に調印した。8月には鴻海の劉揚偉董事長が、この合弁の初期の成果が2カ月後の10月に早くも発表できるという見通しを示した。10月中旬に鴻海が初めて開いた「鴻海科技日」(鴻海テクノロジーデー)の中で、劉董事長は鴻海の長年にわたる自動車関連のソフトとハードのプラットフォーム、基幹部品の3分野に投資してきた成果と戦略を初めて対外的に明らかにした。