居酒屋は「客単価3000円」のラインでコロナ禍2年目の命運が決まる理由Photo:taa22/gettyimages

コロナショックで“負け組”の外食業界。時短営業の要請などにより、居酒屋やレストランなどの夜主体の業態は、業界でも一段と厳しい状況に陥っている。特集『戦慄のK字決算』(全17回)の#12では、このまま沈んでいく企業と、浮上する企業の差に迫った。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

コロナ禍で苦境の外食
負け組の夜業態でもK字回復が始まる

「今後二極化が進む“K字回復”と呼ばれる世界で、会社は上と下のどちらに入ると考えるか」

 4月中旬に開催された外食企業の決算会見で、ダイヤモンド編集部はこんな問い掛けをした。

「どちらかというと負け組かな」。こう語ったのはサイゼリヤの堀埜一成社長だ。一方、ドトール・日レスホールディングスの星野正則社長は「上の方にいる」と力説した。

 決算は両社共に最終赤字(サイゼリヤは上半期、ドトールは通期)だったものの、今後の見通しは経営トップによって分かれたのだ。

 コロナ禍で苦境が続く外食業界。テークアウト需要などを取り込んだ日本KFCホールディングスや日本マクドナルドホールディングスのファストフード業態など一部の勝ち組を除き、ほとんどの業態では正念場が続いている。

 日本フードサービス協会の調べでは、2021年2月の外食業界全体の売上高の前年同月比は77.7%。ファストフード業態の同91.3%に対して、居酒屋は同30.5%と業態間での格差が続いている。

 特に居酒屋やディナーレストランなどの夜主体の業態は時短営業を強いられており、売り上げ回復の見通しが立たない危機が続く。

 ただし、“負け組”とされる夜業態の中でも、客単価に注目すると、浮上が早い勢力とそうでないグループに分かれる「K字回復」が浮かび上がる