楽天グループが、日米政府から「共同監視」を受けるという報道が浮上した。原因は、3月に中国のIT大手テンセント(騰訊控股)から出資を受けたことだ。楽天はこの出資を純投資としているが、果たしてテンセント側にはどのようなもくろみがあったのか?深堀りすると、楽天こそがテンセントにとって必要な「パーツ」であることが浮かび上がった。(ダイヤモンド編集部特任アナリスト 高口康太)
「政府から監視」で楽天株は急落
出資したテンセントの真意は?
楽天グループが日米両政府から共同監視を受けると報じたのは、4月20日付の共同通信だ。原因となったのは楽天が3月に発表した、中国のIT大手、 テンセント(騰訊控股)からの出資で、楽天の顧客情報がテンセントと中国当局に伝わる事態を警戒しているという。
この報道は英字媒体にも次々と転電され、国内外に広がった。翌21日の楽天の株価は前日比の終値ベースで6%下落し、この1日で時価総額は1155億円減少した。この額は、楽天はテンセントによる出資で得た金額約657億円を大きく上回る。23日午前の時点で株価は報道以前の水準を回復したが、「政府監視ショック」に楽天は肝を冷やしたに違いない。
楽天はテンセントの出資目的は「純投資」だと説明し、経営や技術、個人情報への関与はないと説明する。ただ一方で、「テンセントグループとの関係強化を図ることは、当社グループの競争力と機動力の向上につながる」「今後、協業していく分野として、デジタルエンターテインメント、Eコマースなどを検討」友発表(3月12日のプレスリリース)している。そしてテンセントの経営戦略に鑑みれば、出資は事業提携を目的としたものである可能性が高い。
ならば中国のテンセントは、楽天への出資を通じて何を獲得しようとしているのか?