日本企業のガバナンスは悪化している
東芝や企業統治指針に映る欠陥とは?
先日、投資家向けセミナーで、世界の株式相場の見通しについて講演した。米国のハイテク株主導で世界の株価が上昇すると予想する一方、日本株は相対的に弱気とした。
その理由として、日本のコーポレートガバナンス(企業統治、以下ガバナンス)が悪化していることを挙げた。すると、司会役の著名株式ストラテジストが、驚いた様子で「日本企業のガバナンスは良くなっている」と反論するのである。その理由として、社外取締役数の増加などを挙げていた。
しかし、筆者には、ガバナンスが良くなっているとはとても思えない。そこで以下、経営混乱が続く東芝のガバナンスを巡る歴史的な変遷や、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が抱える構造的な欠陥などを指摘しつつ、日本のガバナンス改革の課題を検討していく。