好スタートを切ったはなさく生命保険だが、足元ではライバルの攻勢に押され気味。そこで、日本生命保険による販路拡大に向けた乗り合い大作戦が展開されている。また、朝日生命保険が子会社生保、なないろ生命保険を立ち上げるなど大乱戦となりそうだ。特集『保険の裏 営業の闇』(全21回)の#14では、その動向を探った。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
スタートダッシュを決めたはなさくを
大先輩のメディケアが大逆転
今、乗り合い代理店マーケットは、仁義なき戦いが繰り広げられている――。
生命保険業界のガリバー、日本生命保険の子会社として2年前に華々しく誕生した、はなさく生命保険。乗り合い代理店マーケットを制覇するという親会社トップの使命を帯びた、戦略子会社だ。
そのデビューは、鮮烈だった。
乗り合い代理店業界のリーディングカンパニー、ほけんの窓口と共同開発した医療保険、「はなさく医療」は、ものの見事なスタートダッシュを切った。一時は、窓口での医療保険の販売数において、約2割のシェアを占めるほどだった。
開業後、初商品であるはなさく医療を2019年6月に発売し、その期の決算である20年3月期の新契約件数は6万3682件となった。はなさくの増山尚志社長は、「目標の3万5000件から大きく上振れしました」と、昨年の「週刊ダイヤモンド」の保険特集号(20年7月4日号)で話している(参照:https://diamond.jp/articles/-/242388)。
順風満帆。誰しもそう思っていたが、まさに一寸先は闇。大手生保子会社としては大先輩に当たる、住友生命保険子会社のメディケア生命保険が、20年4月に医療保険の大改定を8年ぶりに行ったところ、シェアが逆転どころか、猛烈な勢いではなさく医療を追い抜いていったのだ。
実に、窓口での販売件数において(20年度7~12月)、メディケアの医療保険「新メディフィットA(エース)」が、はなさく医療のなんと10倍近い販売数を記録した(次ページ図参照)。
むろん、こうした事態になって、ガリバー日本生命が黙って指をくわえて見ているはずもない。ある施策に打って出たのだ。