業績 再編 給与 5年後の業界地図#6Photo:Barcroft Media/gettyimages

新型コロナウイルスの感染拡大が直撃した小売り&外食業界だが、ファーストリテイリングの「UNIQLO」が日本発の世界ブランドに成長するなど明るい材料もある。特集『業績 再編 給与 5年後の業界地図』(全16回)の#6では、主力企業の戦略を検証しつつ、少子高齢化の中で勝ち抜く企業を探した。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

国内市場の縮小は中長期で逆風だが
小売り&外食はテンバガー量産セクター

 新型コロナウイルスの感染拡大で業績が大きく落ち込んだ小売りや外食業界にとって、急ピッチで進む「ワクチン接種」は救世主的存在である。短期的には今まで外出自粛していた人々による「リベンジ消費」も期待できる。

 また、小売りや外食は消費者の需要を捉えると、業績を大きく伸ばす企業が誕生しやすい。株式市場では株価が10倍になる企業のことを「テンバガー」と呼ぶが、小売りセクターはIT業界と並び、テンバガー企業の宝庫である。近年でも作業服のワークマンや100円ショップのセリア、クリエイト・レストランツ・ホールディングスなどがテンバガーになっている。

 とはいえ、時間軸を長く取ると、小売り&外食セクターの将来は厳しい。少子高齢化による消費縮小は避けられない未来であるからだ。

 UBS証券の守屋のぞみアナリストは小売りセクターについてこう指摘する。

「縮小する国内市場の今後を考えると、小売りセクターが中長期でTOPIX(東証株価指数)に勝てるかというと簡単ではないかもしれません。ですが、勝ちパターンを築いたニトリホールディングスは34年連続で増収増益を継続しており、これは東証上場企業では最長記録です。ライフスタイルや消費者の好みなど変化の大きい業界でもあるので、変化対応力も重要になります」(守屋のぞみアナリスト)

 小売企業の勝ち組、負け組を分ける分水嶺は何か。短期は既存店の月次売上高が重要指標となるが、守屋氏は中長期目線では「三つのテーマ」が重要になると指摘する。

 次ページ以降では三つのテーマの解説に加えて、中長期で成長が狙える具体的な企業も紹介する。

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