J-REIT高値は通過点?不動産「不況期」の方がリターン大の意外な理由Photo:PIXTA

高値圏に迫るJ-REIT
個人投資家は売り越しが続く

 東京証券取引所が発表した2021年5月末時点の不動産投資信託(J-REIT)の投資部門別売買動向によれば、個人は2020年7月以降11カ月連続、投資信託も年初から5カ月連続の資金流出となった。まん延防止等重点措置が取られる中、オフィスや商業、ホテルなどの用途別REITが強い逆風を受けていることを考えれば、多くの投資家がJ-REITへの投資に慎重になるのも止むを得まい。

 一方で買いの主体は海外投資家だ。FTSEグローバル株式指数にJ-REITが6月末までに段階的に組入れられるようになったため、同指数に連動するマネーがJ-REITに流入している。ただし、彼らが相場を一気に押し上げた形跡はなく、うまく利食い売りをこなしてきた印象だ。なお、J-REITのもう一つの恒常的な買い手だった日本銀行は、今年3月の金融政策の点検を境に、4月以降は3カ月連続で買入れを見送っている。

 特定の主体が大きく買い上げていない分、今のJ-REIT相場に派手さはないものの、持続力があるように見える。本稿では、J-REITの上昇要因を不動産サイクルに照らして整理した上で、今後の上昇余地について考察したい。なおここでは、東証REIT指数の最大セクターであり、経済情勢に連動してダイナミックに変化するオフィス市況を中心に分析を進めることとする。