米国「CPIショック」の波紋
5月の物価上昇率5.0%に加速
米国ではワクチン接種がおおむね順調に進み、経済の正常化が視野に入りつつある。
ただし、その過程で生じた物価の上昇は、中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)の想定をはるかに超えるものだった。
5月12日に発表された4月の消費者物価(CPI)は前年比+4.2%と、3月の+2.6%から一気に拡大した。これにはFRBの複数の幹部が、「顎が外れるほど驚いた」と素直に反応した。この日の出来事は、市場で「CPIショック」と呼ばれるようになった。
その後、5月のCPIは前年比+5.0%とさらに加速した。もちろん、上昇率を「前年比」で見ているので、コロナ第1波に襲われた前年の物価水準が低かったことの影響はある。しかし、そうした「ベース効果」だけで最近の物価上昇を説明するのは難しい。
「高インフレ時代」へのレジーム転換説はもともとあるが、足元の物価上昇はそうした見方を強める動きであるかにも見える。潮目は変わったのか。