東京大学を卒業して大手銀行に就職したエリート、矢内彩さんは在職中に1億5000万円の不動産投資を決意した。しかし、この投資があだとなって自己破産。いったい何が起こったのか。特集『資産1億円 本気で目指すFIRE』(全17回)の#13では、敗因を本人が赤裸々に語った。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
銀行を辞めた後に
スルガ銀が融資の再審査
――矢内さんは東京大学卒業後、みずほ銀行に入行して不動産投資を始めたものの失敗して、今年自己破産手続きが終了しました。不動産会社と1億5000万円の建物付き土地の売買契約を交わし、建物を解体した上で一部を自宅、残りを賃貸住宅にする「賃貸併用住宅」を建てるという計画でした。不動産会社からの紹介でスルガ銀行が資金調達先になりましたが、ここまでは2018年にスルガ銀行の個人向け投資用不動産融資で書類改ざんなどの不正が発覚した事件、いわゆるスルガショック以前のことですよね?
そうです。売買契約は17年12月のことでした。
――同月に土地代7000万円の融資が先に実行され、建物が解体されて更地になり、いざ建築しようとしたところ18年に建築中止となりました。同時期に独立開業を目指して退職していますが、建設会社が中止を決めたのはそれが理由?
建築中止は銀行を辞めた後でしたが、建設会社は退職の事実を知らない状態でした。私への融資は(スルガショックで露見したような)不正なものではありませんでしたが、不動産会社からは「スルガショックを理由に建設会社が手を引いた」と聞きました。
――そのあとスルガ銀行は矢内さんへの融資について再審査を求めました。それは矢内さんが銀行を辞めたからでしょうか。