経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)や関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)ら財界の顔役には、住友グループの企業経営者が目立つ。偶然の巡り合わせといえるが、住友のある特徴も財界席巻の背景にあるようだ。特集『三井住友 名門「財閥」の野望』(全18回)最終回で、その秘密を探る。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
経団連も全銀協も…住友の重鎮ずらり
白水会「暗黙の統治」の秘密
「財界は『住友政権』といったところか。住友の勢いを感じるね」
10月31日に投開票された衆院選で岸田政権の続投が決まったことを踏まえ、三井系企業の幹部はそう話す。
「財界総理」といわれる日本経済団体連合会会長には今、住友化学の十倉雅和会長が就く。関西経済連合会の会長は住友電気工業の松本正義会長だ。東西の財界の顔役だけでなく、銀行や保険の業界団体トップも住友系企業の経営者が名を連ねる(次ページ表参照)。「住友政権」といわれるゆえんだ。
当の住友側は「たまたまでしょう」(住友重機械工業の下村真司社長)と浮き足だった様子を見せない。
例えば全国銀行協会の会長行は3メガバンクの持ち回りだが、本来なら今年度が会長行のはずだったみずほフィナンシャルグループでシステム障害が発生。坂井辰史社長が辞退し、三井住友銀行の髙島誠頭取が急きょ再登板した経緯がある。どの業界団体も会長ポストは持ち回りが原則のため、確かに偶然の一致という側面は強い。
ただ住友グループ企業は近年、目立った不祥事もなく、財界ポストのローテーションをしっかり守っているのも事実だ。そうなればおのずと、財界の顔に住友が目立つようになる。
そうした「真面目」で「堅実」な企業がなぜ住友には多いのか。その秘密は白水会に隠されている。