米アップルの共同創業者であり、iPhoneの生みの親としても知られる故スティーブ・ジョブズ。彼は生前、「営業出身の経営者はつまらない」と批判していた。特にメーカーでは、社長になるべきは営業畑かエンジニア畑か、といった議論が盛んだが、伝説の経営者がそのように断じた理由とは?(イトモス研究所所長 小倉健一)
「営業出身だからつまらない」
マイクロソフトのCEOを批判
「マイクロソフトを見てごらん。会社を仕切っているのは営業畑出身のスティーヴ・バルマーだろう?だからつまんないんだよ」
米アップルの共同創業者としてiPhoneを世に送り出した伝説の経営者、スティーブ・ジョブズは、ライバルの米マイクロソフトの最高経営責任者(CEO、2000〜14年)の経歴をこう批判した――。作家ウォルター・アイザックソンが記した伝記『スティーブ・ジョブズ』(講談社)にはそんなシーンが描かれている。
自分の会社の経営者は営業部門出身者がいいか、開発部門出身者がいいか。企業論、組織論において、こうした二択は永遠のテーマだろう。あらゆる企業において、経営層から現場までさまざまなレベル感で議論されているはずだ。
しかし、多くの名言や逸話を残してこの世を去った伝説の経営者が、他社のCEOを引き合いに出してこきおろすことまでして訴えたことは何だったのか。