日本企業の間で人員リストラの実施が常態化している。しかも、従来の人的整理とはタイプが異なる「新種リストラ」が横行しつつある。『総予測2022』の本稿では、早期・希望退職制度を実施した56社リストを明らかにすると共に、22年に増えそうなリストラの“特徴”を炙り出す。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)
ホンダ“中の上”レベルの55歳管理職で
退職一時金は8000万円!
「2022年3月末には早期退職制度の応募者数が2000人どころか、2500人に上ってしまうかもしれない」
あるホンダの管理職社員は声を潜める。2000人とは、ホンダの日本地域における正社員の5%に相当する数である。
21年4月、ホンダは中高年社員を対象に早期退職制度「ライフシフト・プログラム(LSP)」をスタートさせた。
LSPとは、定年の65歳になる前に辞めれば、退職金に上乗せした割増退職金が加算される制度のこと。割増退職金の支給要件は、社内の役職等級や職位(統括部長、部長、課長など)によらずに前年度の年収実績で決まる。
今年度(22年3月期)の場合、55歳で年収の3年分、56歳で年収2.5年分、57歳で年収2年分、58歳で年収1.5年分、残りの59~64歳で年収1年分といった具合だ。
例えば、55歳の“中の上”レベルの管理職ならば、デフォルトの退職金と割増退職金などを合算した“退職一時金”はざっと8000万円ほどになるという。この大盤振る舞いのリストラに、応募者が殺到しているのだ。
ホンダだけではない。振り返れば、21年はあらゆる業種において人員リストラが実行された年だった。以降では、早期・希望退職を実施した56社リストを明らかにすると共に、22年に増えそうな人員リストラの“特徴”を炙りだす。