近年、災害が多発する中で、気象の変化を正しく予測し、災害の可能性に備えることの重要性が改めて認識されている。幾多の災害を教訓に進化してきた気象情報は、どのように変わってきたのか。また今後、注目度が高まっていくのが「宇宙天気」だという。その理由とは。NHK「ニュースウオッチ9」で気象キャスターを務める斉田季実治さんに話を聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)
「備える時間」の確保へ
天気予報は進化してきた
近年は気象災害の頻発やSDGsへの関心の高まりを受け、気象予報がかつてないほど注目されている。
今年放送されたNHK上半期の朝ドラ「おかえりモネ」では、ヒロインの職業が気象予報士という設定で、その仕事が秘める可能性の大きさが繰り返し語られた。またノーベル物理学賞を、気象や気候の分野の研究者が初めて受賞したことも大きな話題となった。受賞者の一人である真鍋淑郎さんは、50年以上も前に「二酸化炭素が増えれば地球の気温が上昇し、地球温暖化につながる」ということを世界に先駆けて発表し、現在の温暖化予測の礎となる気候モデルの基礎を築き上げた人だ。
「線状降水帯」と考えられる雨域が確認された際に、土砂災害や洪水の危険性が急激に高まったことを知らせる「顕著な大雨に関する情報」の運用が開始されたのも今年の6月17日からだ。海底火山の大規模噴火に由来する大量の軽石が、沖縄や伊豆諸島に漂着。船の航行にも支障が出ていたのも記憶に新しい。気象や気候の世界はダイナミックに動いており、予測の重要性も年々高まってきている。
そこで、近年の気象予報の進化と未来について、「おかえりモネ」の気象考証を担当し、自身もNHK「ニュースウオッチ9」の気象コーナーに出演する気象予報士の斉田季実治さんに話を聞いた。