1980年代初頭の第2次オイルショック並みの打撃が、日本企業を襲っている。世界的な資源インフレと円安を背景に、原材料などのコストが上昇しているのだ。特集『企業悶絶!インフレ襲来』(全13回)の#2では、インフレ局面での企業の苦悶ぶりを独自調査で伝える。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)
オイルショック並みの打撃
それでも値上げできない理由は?
その衝撃はオイルショック並み――。日本銀行が発表している企業物価指数が、高い値で推移している。指数は企業間で売買される物品の価格変動を示す指標だが、昨秋以降は1980年ごろ以来の高い伸び率を記録している。80年ごろといえば、第2次オイルショックの余波を引きずっていた当時だ。
品目別では、ガソリンや軽油といった石油・石炭製品、鉄鋼や化学製品などの値上がりが目立っている。国際商品価格の上昇のあおりをもろに受けているのだ。また輸入物価も上昇しており、円安で原材料などの輸入品が値上がりしている。
この現状、オイルショック当時とは大きな違いがある。企業物価指数の上昇は共通しているが、当時のように消費者物価指数は上がっていないのだ。つまり企業がコストを商品やサービスに転嫁せず吸収している状況で、企業収益の圧迫につながる。
現状がいかに日本企業の経営を圧迫しているのか、またなぜ日本企業はコストを価格転嫁できないのかを探るため、ダイヤモンド編集部は大手企業を対象に独自調査を実施した。