企業に容赦ないアイカーン氏のひそかな「大義」Photo:Neilson Barnard/gettyimages

 大富豪の米著名投資家カール・アイカーン氏は、企業の最高経営責任者(CEO)やライバルに対する情け容赦ない攻撃で知られる。そんな同氏が、10年ほど前から慈悲深い取り組みを進めていることは、あまり知られていない。

 マクドナルドは2012年、同社の「ベーコン・マックダブル」チーズバーガー、「マックリブ」サンドイッチなどに使用している豚肉について、妊娠した豚を狭い檻(おり)で飼育する養豚業者からの購入を2022年までに停止すると約束した。この対応に関して同社が触れなかった点がある。それは、この改善策をアイカーン氏が陰で後押ししていたことだ。

 それから10年を経てアイカーン氏は、同社の当初の約束が見せかけだったと結論付けた。マクドナルドが現在しばしば取っている対応は、豚の妊娠が確認された時点で初めてその豚を檻から出すよう、業者に指示するというものだ。豚の妊娠期間は16週だが、多くの業者は雌豚が受胎後4~6週間を経るまで、妊娠を確認しない。アイカーン氏はこれまで「妊娠クレート(gestation crate)」と呼ばれる狭い檻の使用が全面禁止されることを期待していた。