コロナ禍の次にウクライナ危機
財政支出の拡大圧力は続く
一般会計総額が107兆円を超える過去最大規模の来年度予算が衆院を通過し、年度内に成立する見通しになった。年度末の政府債務は1000兆円を超える見通しだ。
コロナ禍が収束していないところへ、ウクライナ危機とそれに伴うロシア制裁で、世界経済の不透明感は強まっている。既に起きているコストプッシュ・インフレが、原油や食料の国際価格の一段の高騰により、国内でも悪化する可能性が高い。
景気の下振れリスクに対して金融政策での対応余地はなく、財政支出の拡大圧力は強まる一方だ。中長期的な財政のあり方を巡り、地に足の着いた議論が必要だが、実際には、浮世離れした高い名目成長率に希望を託すような議論が改まらない。
典型的なのは内閣府の中長期試算だ。
財政運営の前提にあるのは
「超楽観ケース」と「楽観ケース」
内閣府は毎年、年初と夏の2回「中長期の経済財政に関する試算」を公表している。
向こう10年程度にわたる経済・物価・財政の姿を示したものであり、経済財政諮問会議の参考資料になっている。