ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、シベリア鉄道ルートの物流がピンチだ。日欧間における「第3の輸送」として期待が高まっていたさなかの緊急事態に、日本通運などの物流大手、荷主らは対応に追われている。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
国交省がシベリア鉄道の利用を促進
日本通運が力を入れた矢先に軍事侵攻
ロシアを東西に横断する「シベリア鉄道」経由の日欧間輸送に暗雲が垂れ込めている。
国土交通省は近年、ロシア鉄道と協力し、海運、空輸に並ぶ「第3の輸送手段」としてシベリア鉄道の利用を促進してきた。海運と比べて時間短縮、空輸に比べてコスト圧縮ができるためだ。脱炭素に向けた取り組みにもなる。
国交省による2020年度のパイロット事業に参加した物流会社は日本通運(現在はNIPPON EXPRESSホールディングス傘下)、山九、日新、郵船ロジスティクス、阪急阪神エクスプレス、東洋トランスなど。荷主で参加したのはホンダ、ダイキン工業、ニプロ、シスメックス、日本触媒、YKKなどである。
国交省によると、1970~80年代にかけてシベリア鉄道は日本から欧州等に向けた貨物輸送に活発に利用されていたが、91年のソ連崩壊以後は輸送量が激減していた。
近年のパイロット事業を経て、シベリア鉄道を活用した欧州向け輸送強化の機運が高まっていた。その矢先、軍事侵攻によって状況は一変した。
第3の輸送手段は今、どんな状況なのか。日本通運などの対応はどうなっているのか。