ロシアがウクライナに侵攻し、原油価格は急騰した。ウクライナ危機をきっかけに、エネルギー市場は、大きく構造変化が起きる可能性がある。ウクライナ危機は「第3次オイルショック」ともいえそうだ。(マーケット・リスク・アドバイザリー共同代表 新村直弘)
荒唐無稽なリスクシナリオも
あり得ると証明してしまった
核保有国であり、国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアが、ウクライナへの「侵略戦争」を行った。ウクライナ危機は「21世紀では大国による侵略戦争は起こらないだろう」という常識を覆し、荒唐無稽なリスクシナリオがあり得ることを証明してしまった。
ウクライナ危機は、エネルギー市場でこれまで想定していなかった大きな動きが出てくる可能性が出てきた。ヨーロッパを中心に西側諸国は、ロシア産原油・天然ガス以外のエネルギー源や再生可能エネルギーにシフトする方向に舵を切ると考えられる。
これにより、主に鉱物資源をはじめ、エネルギーシフトに必要な資源の価格が上昇する可能性がある。代替のエネルギー手段が確保できるまでは、多くの商品で需給が逼迫し、代表例でいえば原油や天然ガス、石炭の価格が上がるだろう。
「エネルギー供給の大きな構造変化」が起きる可能性があることを考えると、ウクライナ危機は「第3次オイルショック」といえるくらいのインパクトがありそうだ。
では、第3次オイルショック後のリスクシナリオに備えるために、どうすればよいのか。
ヒントは、前回のオイルショック、つまり1979年のイラン革命と80年のイラン・イラク戦争が引き金となって発生した第2次オイルショックから探ることができそうだ。それでは、まず歴史を振り返ってみよう。