実質実効レートでは2月時点で既に
「50年ぶり」水準まで下落していた
為替市場で円が全面安の様相だ。円は対米ドル、オーストラリア・ドル(以下、豪ドル)、カナダ・ドル、ユーロなどに対してこのところ、一時2015年夏以来、約6年半ぶりの水準まで下落した。
これはあくまで、名目レート上の話だ。インフレ率の差を勘案し、さらに広範な日本の貿易相手国の通貨変動も考慮した、円の全体的な価値を示す「実質実効レート」で見ると、円は今年2月の時点で既に1972年2月以来50年ぶりの水準まで下落していた(下図参照)。
つまり円の弱さ、円という通貨の購買力低下は決して今に始まったことではなく、既にここ数年、長期的な現象として進行していたことが分かる。次ページではまず、このように円の弱さが長きにわたり続いてきた背景を説明した上で、3月に入って急速な円安が進んだ理由を解説。さらに、筆者は円安基調が継続する可能性が高いと考えているが、今後1ドル=130円台到達を促す「2つの条件」とは何かを示していく。