欧米はインフレ抑制重視に転換
ウクライナ問題で高インフレ長期化?
欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備制度(Fed)、イングランド銀行(BOE)が3月中旬にかけて開いた金融政策決定会合で軒並み、金融政策運営の正常化を加速させた。
ロシアによるウクライナ侵攻で原油をはじめとする資源価格の先高観が強まるなど、コロナ危機後の高インフレ局面が長引く可能性が高まる。
スタグフレーションを回避しながら、いかに利上げや資産圧縮を進めていくのか、難しいかじ取りだ。
一方で主要中銀のなかで日本銀行だけは超金融緩和の維持を決め、欧米中銀とのスタンスの相違は一段と際立っている。
折から金利差の拡大を見込んで円安が加速する。緩和を維持して結果的にさらなる円安を助長し、インフレ急騰の事態になることはないのか。
日銀の「緩和維持リスク」は欧米中銀の抱える「正常化リスク」よりはるかに大きい。
正常化で直面する「4つの課題」
資産規模縮小をどう進めるか
世界各国がコロナ危機に直面してから2年。世界経済の回復が本格化し始めた状況で起きたのが、ロシアのウクライナへの軍事侵攻だった。
冷戦終了後の世界的な安寧があっけなく崩壊したのと同時に、長らく続いてきた低成長・低インフレ局面に終止符が打たれつつあることが日増しに明白になっている。