問題は不正受給でなく「不受給」
現金給付で繰り返されてきた課題
本当に困っている人たちにお金が届かない。
これは、コロナ対策の現金給付をめぐって何度となく繰り返されてきた批判だ。
政府は26日、決めた物価高に対する緊急対策でも物価高騰で生活がひっ迫する低所得の子育て世帯を対象に児童一人当たり「5万円給付」を実施する。
景気低迷やコロナ禍で、職を失ったり収入が激減したりする雇用の不安定化とともに、低所得層向けの現金給付が増えた。だが自治体への申請が条件である以上、制度の存在を知らない人たちや病気で申請に行けない人たちは、当然もらえない。
全員を受給者とした特別定額給付金も事情は同じだ。給付は世帯主にまとめて行われた。だから、DVに苦しみ避難している女性やその子どもの給付金を、世帯主である男性が独り占めするケースが相次いだ。
本来、支援が必要な人たちに給付が行き渡らない「不受給問題」にこそ、日本の社会保障の本質的な限界が隠されているように思う。