ウクライナ後の経済抑止力と経済安保Photo:PIXTA

対ロ制裁の長期化で
「中ロ接近」の可能性

 ロシアのウクライナ軍事侵攻から2カ月が過ぎ事態は泥沼化の様相だ。欧米や日本の対ロ経済制裁が長期化する見通しのなかで、中ロが接近し新たな冷戦時代を招きかねない懸念が強まる。

 EUはロシアとエネルギーの輸出入など経済的な結び付きを強めていたはずなのに、EUにとって許容できないウクライナへの軍事侵攻は起き、経済的な結び付きは抑止力にはならなかった。

 しかし、今後、対ロ制裁が長引きロシアを孤立させると、ますますロシアとG7諸国の間での相互不信が募る一方で、利害が薄くなることでロシアが行動しやすくなる側面もある。

 今回の事態で経済の相互依存よりも経済安全保障重視の考え方が強まるが、それはそれで新たなリスクを抱えることになる。