食料争奪戦#7Photo:PIXTA

外食チェーンで値上げラッシュが起きている。これまで消費者に許容されづらかった値上げだが、いよいよ潮目が変わり始めている。特集『食料争奪戦〜日本の食卓が危ない〜』(全7回)の最終回では、値上げラッシュの顛末を詳説する。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

牛丼チェーンから始まった値上げラッシュ
限界水域を超えたコストアップ

 外食企業でいよいよ「値上げレース」が始まった。

 これまで外食企業にとって、値上げは客離れを引き起こす“禁じ手”だった。人件費や食材費の上昇局面でも価格への転嫁は進まず、その結果、日本は世界でも有数の「客単価が安い」国に成り下がってしまったのだ。

 しかし、昨今のコスト高は経費削減など企業努力でカバーできる範囲を優に超えている。小麦、肉類、魚類といった食材費に加え、アルバイトの時給など人件費も急上昇。さらに、円安による輸入食材価格や輸送コストの上昇も追い打ちをかけており、ここ半年で雪崩を打つように各社が値上げを断行している。

 象徴的なのが牛丼チェーンだ。昨年9月に松屋フーズホールディングスが松屋の「牛めし 並盛」を320円から380円に値上げしたのを手始めに、同10月には吉野家ホールディングスが吉野家の「牛丼並盛」を387円から426円へ値上げした。同12月には、ゼンショーホールディングスもすき家の「牛丼並盛」を350円から400円に値上げしている。

 価格への反応が最もシビアといわれる牛丼チェーンが値上げに踏み切ったことで、その様子を虎視眈々とうかがっていた外食各社も一斉に動きだした。

 次ページでは、全20社の値上げリストを公開するとともに、値上げを断行した企業の業績変化を検証する。

 果たして各社の値上げは成功したのか、はたまた失敗に終わったのか。値上げを成功させるコツとは何か。今後の外食産業の試金石となる値上げラッシュの顛末を追う。