日本を代表する旧財閥の三菱、三井、住友が鉄の結束を誇る陰には、社外取締役の存在も見逃せない。ダイヤモンド編集部は三大財閥の序列と有力企業の社外取の顔触れを図解する完全マップを作成した。特集『社外取「欺瞞のバブル」9400人の全序列』の#18では、三大財閥の有力企業33社の主要社外取計46人の顔触れを紹介するとともに、グループ内での社外取ポストの“持ち合い”構造を解き明かす。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希)
今や株でなく社外取の持ち合いに変化
三大財閥33社46人社外取相関図初公開!
グローバルな事業経営に関する高い見識を有している――。
三菱自動車は6月下旬に開かれる定時株主総会の招集通知で、ある人物を社外取締役の候補者とした理由をそう記した。その人物とは、新たに三菱自動車の社外取となる三菱商事会長の垣内威彦氏だ。
三菱商事は2021年12月、社長だった垣内氏が22年4月に会長に就任する、6年ぶりのトップ交代人事を発表した。三菱商事の会長に就いた直後の6月から三菱自動車の社外取に就くことになる。
垣内氏の就任と同時に、三菱自動車の社外取を退任するのが、三菱商事相談役の小林健氏だ。その小林氏もちょうど6年前、社長から会長に退いた直後に、三菱自動車の取締役に就いている。
三菱商事だけではない。三菱自動車の新任社外取候補者の中には、垣内氏と並んで、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)会長の三毛兼承氏の名もある。こちらもMUFG元会長の園潔氏の三菱自動車の社外取退任とセットである。
三菱自動車では、三菱商事とMUFGの会長、元会長だけでなく、三菱重工業会長の宮永俊一氏も社外取ポストを占めている。
財閥の求心力はかつてに比べて低下したといわれる。グループの結束の源泉だった株式の持ち合いも、海外投資家の圧力などを背景に解消が進んでいる。
もちろん三菱自動車の場合、三菱商事などが大株主ではあるが、巨大グループは今や主に人の結び付きによって秩序を保っている。住友関係者はこう指摘する。「持ち合い株が難しくなる中で、社外取こそが結束には欠かせない」。今や、鉄の結束を維持しているのは、持ち合い株ではなく、“持ち合い社外取”なのだ。
今回、ダイヤモンド編集部は三大財閥である三菱、三井、住友の有力企業の序列と共に、社外取の顔触れをまとめた完全マップを作成した。
次ページからは、三大財閥の有力企業33社の主要な社外取計46人(20年度時点)が登場。どの関係が強化されていて、どこのつながりが緩やかなのか、一目瞭然だ。