コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかしビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はJT、明治ホールディングスなどの「食品/嗜好(しこう)品」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
キッコーマン1割超増収
明治HDは前年同期比減収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は、以下の食品/嗜好(しこう)品業界4社。対象期間は21年10~12月の四半期としている。
各社の増収率は、以下の通りだった。
・JT
増収率:6.2%(四半期の売上収益5815億円)
・キッコーマン
増収率:16.6%(四半期の売上収益1316億円)
・味の素
増収率:6.7%(四半期の売上高2951億円)
・明治ホールディングス
増収率:マイナス1.9%(四半期の売上高2431億円)
※明治ホールディングスは22年3月期第1四半期から収益認識に関する会計方針の変更を行っているため、前年同期の売上高にも同じ基準を適用した際の増収率を表示している。
食品/嗜好品業界の4社はJT、キッコーマン、味の素が前年同期比で増収。明治ホールディングスは減収だった。
食品メーカーでは、昨今の原材料価格の高騰などを背景に、商品の「値上げ」が相次いでいる。また、JTではロシア・ウクライナ情勢がビジネス上の大きなリスクとなっている。
こうした中で、増収率の面で各社の明暗はどのように分かれたのか。
次ページでは、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、直面している課題や増収・減収要因について詳しく解説する。