コロナショック後に“モノの移動”が停滞していたところに、「米中分断」と「西側諸国と中ロとの分断」という要素が加わったことで、多くのグローバル企業がサプライチェーンの見直しを迫られている。従来の定説とは違い、「在庫を持たないこと」がリスクとなりつつあるのだ。特集『決算書100本ノック!2022夏』(全21回)の#19では、在庫の増加幅に基づくサプライチェーン改革度ランキングを作成した。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
供給制約と対ロシア経済制裁が
迫るサプライチェーン改革
グローバル企業の間で「従来の定説」が崩れつつある。これまでは、企業は必要最低限の在庫を持つことを良しとされてきたが、「在庫を持たないこと」がリスクとなりつつあるのだ。
かねてコロナショック後に“モノの移動”が停滞していたところに、「米中分断」と対ロシア経済制裁による「西側諸国経済と中ロ経済圏との分断」という要素が加わった。それにより多くのグローバル企業が、中ロ経済圏への依存度引き下げに迫られるなどサプライチェーンの見直しを迫られているのだ。
自由貿易から保護貿易へ――。グローバル化が全盛だった頃から一変し、必要最小限の在庫を保有するだけでは製品の安定的な生産を確保できなくなる可能性が高まっている。「在庫=悪」の定説が崩れ「在庫=良」となりつつあるのだ。
そうした変化を読み取るために、加工産業を対象に、棚卸資産(在庫)回転日数の増加幅の多い順に並べた「サプライチェーン改革度」ランキングを作成した。
次ページでは、その顔触れをみていこう。