商社 食料部門の悲哀#6Photo by Masato Kato

双日は、日本ハム子会社で水産販売会社のマリンフーズを買収した。リテール・コンシューマーサービス本部長の村井宏人常務執行役員は、「世界を目指す」と鼻息が荒い。特集『商社 食料部門の悲哀』(全7回)の#6では、双日の食料部門のキーマンに、買収の舞台裏と野望を明かしてもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本興陽)

日ハム子会社のマリンフーズを買収
直販で4000社と取引の販売力

――4月に日本ハム子会社の水産加工販売大手マリンフーズを買収しました。大手回転ずしチェーンとの取引も多い有力企業です。

 水産品の加工能力と販売力が素晴らしい会社だと思っています。

 販売力で言えば、日本国内の約4000社のお客さまに直接販売するネットワークを持っています。国内の流通は、1次卸から3次卸を通して販売するケースが多いですが、マリンフーズは直販です。200人を超える営業部員も抱え、45カ所の営業所を持っていることも大きい。

 スーパーマーケット市場は、東京や大阪で一括購買だけするような大手だけの世界ではありません。地方には地方スーパーがあります。そうしたところに45カ所の営業所を通じて販売ができる。

――双日から見て水産事業の調達は、今後どのように変化しますか。

 マリンフーズと一緒になることで、新たな世界が開けます。需要がどのようなものなのかを正確に捉えた上で、(水産品のトレーディングなどで)交渉ができる。商社のビジネスは、「こういう水産資源があって、これを売りたい」という、プロダクトアウトのプッシュ型が多いですが、これからの双日はマーケットインのプル型となります。

――買収の経緯と舞台裏は。