最強の小学校低学年の教育#7

中学受験の過熱は「親の知識不足」に付け込まれている面も大きい――。特集『中学受験に勝つ! 最強の小学校低学年の教育』(全7回)の最終回では、「大事なのは子どもの目がキラキラしているか。『御三家やブランド校合格』という目標ありきで中学受験に臨むのは、悲劇になることも多い」と指摘する教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏に話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

今しかできない体験を
低学年から焦る必要はない

 今しかできないことをするのが、子育てや学びの大原則です。虫捕りに熱中するのもいいですし、クーラーの中で一日中ダラダラして、おやつにアイスクリームを食べるのも悪くありません。

 無駄に一日を過ごすことは、小学校低学年の特権です。今のうちに存分にやっておくべきでしょう。「あれ?このままじゃまずいな」ということは、経験しないと気付きようがないですから。

 低学年からの塾通いについては「何を焦っているのですか」と逆に聞きたいですね。パニックになって始めているのであれば、冷静になった方がいいでしょう。率直に言って、親の無知に付け込まれている部分があります。

 親が焦る理由に、難関校合格に実績のあるSAPIXは「4年生からでは入れないよ」という話があります。花見の場所取りと同じですよね。

 それに対しての回答は「別にSAPIX以外でもいいのでは」というのが一つ。いやいや「最難関を狙うならSAPIX」というのなら、「優秀な子であれば途中からでも入れますよ」という答え方もあります。

 SAPIXでαと呼ばれる上位クラスに入る子であれば、途中からでも入れます。「もう椅子がありません」と言われる子は、そもそもSAPIXに入る必要がないわけです。どの塾も学力的に優秀な子が欲しいわけですから、SAPIXで学ぶべき子は、ある程度の学年になってからでも席を用意してくれます。

 一方、塾で小学校では得られない学びの喜びを教えてもらい、小学校とは違う友達ができることは良い経験にもなります。子どもが楽しんでいるのであれば、塾でも公文式でも低学年からどんどん行かせていいと思います。

次ページでは、低学年で取り組んでほしい五つのポイントを解説。塾選び、子どもへの声掛け、中学受験を開始するタイミングに加えて、夏期講習で疲れたわが子をどう見るか……など実践的アドバイスも紹介。「12歳の人生経験」としての中学受験を「必笑」にする方法をお届けする。