「大阪」沈む経済 試練の財界#2Photo:PIXTA

新型コロナウイルスの感染拡大やインバウンド特需の消滅で大打撃を受けた大阪経済。大阪に拠点を置く上場企業「全315社」を収益力や財務基盤、投資家評価を基に採点し、点数が低い「崖っぷち」企業をあぶり出した。20回超にわたり公開予定の特集『「大阪」沈む経済 試練の財界』の#2では、全315社を完全序列化した独自ランキングを公開する。ワースト3には、JR西日本などの超名門企業がずらりと並んだ。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希、清水理裕)

3年ぶり黒字も苦境の鉄道会社
在阪「全315社」の崖っぷち序列

 3年ぶりの黒字――。

 西日本旅客鉄道(JR西日本)が8月2日に発表した2022年4~6月期の連結決算は、最終損益が578億円の黒字(前年同期は320億円の赤字)だった。4~6月期の黒字は新型コロナウイルス流行前の19年以来となった。

 関西の私鉄各社も同じ決算期で黒字を確保。コロナ禍での行動制限の解除で鉄道業界に回復の兆しが出ている。

 だが、このまま回復基調に向かうかというと情勢は不透明だ。JR西日本の長谷川一明社長はこう懸念を示す。「足元では感染症の再拡大や不安定な国際情勢に伴う物価上昇など、経営環境は厳しさを増している」。

 インバウンド(訪日外国人観光客)特需に沸いてきた関西経済はコロナ禍によって水を差された。鉄道各社のみならず、観光・サービスなど幅広い業種が打撃を受けた。

 内需企業だけではない。メーカーなどの企業は原材料高や円安といった外部環境に大きく左右される状況がまだまだ続く。

 そこで大阪に本拠地を置く上場企業がどれだけ「崖っぷち」にあるか検証するため、独自ランキングを作成した。稼ぐ力と財務基盤に加え、投資家からの評価の三つの観点で評価軸を設定し、100点満点で採点。銀行や証券会社を除く在阪の事業会社「全315社」をランキングにした。

 総得点が最も低かったワースト3には、JR西日本に加え、関西の超名門企業が並んだ。ランキングの上位には、私鉄各社のほか、流通大手も目立った。

 一方、ランキングの下位、すなわち崖っぷちから程遠い企業にも注目だ。厳しい事業環境の中でも、下位には財界幹部を輩出する住宅メーカーや空調機メーカー、商社、電機メーカーに加え、ビジネスパーソンがうらやむ超高年収の高収益企業が並んだ。

 次ページでは、在阪「全315社」の総得点と順位を完全公開する。