「大阪」沈む経済 試練の財界#20Photo:PIXTA

関西財界の強い結束は、ビジネス上の結び付きだけでなく、大手企業の社外取締役の顔触れにも表れている。特集『「大阪」沈む経済 試練の財界』(全23回)の#20では、大阪に拠点を置く名門企業25社の社外取のうち地元企業出身の大物経営者ら44人の実名を公開。関西財界の社外取ポストの「持ち合い」の構図を明らかにする。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希)

塩野義の社外取に超大物財界人
名門25社44人の人脈マップ

 大阪商工会議所の前会頭として、大阪・関西の成長力強化を推進した――。

 6月23日、兵庫県尼崎市で開かれた塩野義製薬の定時株主総会。会社側は株主総会招集通知に、ある関西財界の“大御所”を社外取締役の候補に挙げた理由をそう記した。

 大御所とは、大商前会頭で、大阪ガス元会長の尾崎裕氏である。尾崎氏は2019年から塩野義の社外取を務めている。

 塩野義社長の手代木功氏は10年に大商副会頭に就任。15年に尾崎氏が大商会頭に就くと、両氏は正副会頭として汗をかいた関係である。

 19年に社外取に尾崎氏が就く際に、入れ替わりで退任したのが、同じく大ガス元会長で、大商会頭を務めた野村昭雄氏である。

 野村氏は09年から10年間、社外取を務めた。つまり、大ガス出身の野村、尾崎両氏は13年にわたり塩野義の社外取ポストを確保しているのだ。

 一方、大ガスの社外取の顔触れを見ると、同じく関西財界の名門、西日本旅客鉄道(JR西日本)元副会長の来島達夫氏ら関西財界の幹部が名を連ねている。こうした名門企業同士による社外取ポストの「持ち合い」は、財界の強い結束を生み出している。

 今回、ダイヤモンド編集部は、在阪の有力企業25社を対象に社外取の顔触れをまとめた。次ページでは、地元企業出身の大物経営者ら44人の全実名とその人脈を公開する。関西電力、大ガス、JR西日本など鉄道各社……。どの企業や、どの経営者がお互いにつながりを持っているかが一目瞭然だ。