2022年3月期に連結純利益で7期ぶりに1兆円超えを達成した日本の金融王者・三菱UFJフィナンシャル・グループ。しかし中核の三菱UFJ銀行単体の「本業の利益」(業務純益)は、今や3メガバンク最下位だ。特集『3メガバンク最終決戦!』(全9回)の#1では、国内大企業営業のトップが「大企業顧客による役割期待の低さを痛いほど感じた」と公言するほど危機感を高める、三菱UFJ銀の反転攻勢策を明かす。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)
三菱UFJFGが怒涛の組織変革に着手
大企業営業が始める“原点回帰”策
日本金融界の王者・三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が、国内の大企業営業部門(コーポレートバンキング事業本部)で怒涛の組織変革を行っている。
中核である三菱UFJ銀行を中心に、今年4月だけで四つもの部署を新設。従業員や役員が林尚見コーポレートバンキング事業本部長(三菱UFJ銀副頭取)に、新事業や業務改革のアイデアを提案する場や、従業員と林事業本部長が直接対話を行う場も設け始めた。
背景には、強烈な危機意識がある。「現状のグループのありようを見る限り、率直に言って、三菱UFJFGは大企業顧客による役割期待が低い。銀行は“原点回帰”して、本来求められている機能をもう一度発揮できるようにするべきだ」(林事業本部長)――。
実際、この10年間の三菱UFJ銀単体の業績を見ると、一般企業の営業利益に当たる「業務純益」(資金利益といった“銀行の本業”による利益)は、気付けば3メガバンクで最下位に落ち込んでいる(下図参照)。
林事業本部長が言う原点回帰とは何か。そのために三菱UFJ銀は、どんな組織変革を行っているのか。次ページでは、王者転落の真相と、三菱UFJ銀の反転攻勢策を明かす。