乗客数日本一の巨大ターミナル駅である新宿駅の再開発が始まった。事業規模1兆円を超えるとされる一大開発である。そこに食い込むゼネコン、不動産デベロッパー、鉄道会社の中には意外な顔触れがあった。特集『沈むゼネコン 踊る不動産』(全20回)の#8では、新宿駅再開発の内情に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
新宿駅再開発で
大成建設が勝ち組に
新宿駅西口にある「小田急百貨店新宿店本館」が10月2日に営業を終了し、隣接する「新宿西口ハルク」へ移転する。同月から再開発が始まるからだ。
新宿店本館の跡地には、都庁第一本庁舎(高さ243メートル)を抜いて新宿で最も高い260メートルの超高層ビルが2029年度に竣工する。
施工をメインで手掛けるのは大成建設と目されており、「これは順当」と業界関係者は言う。大成建設にとって新宿は本社のあるお膝元。同社は街のリーダー的企業の1社であるからだ。。
大成建設は駅西口の正面にある「明治安田生命新宿ビル」の建て替え(25年竣工予定)も竹中工務店との共同事業体(JV)で手掛けており、新宿駅開発の工事受注において勝ち組となっている。
もっとも、小田急百貨店新宿店本館跡地の「新宿駅西口地区開発」プロジェクトは駅一帯の開発の一部にすぎない。新宿駅再開発は、事業規模1兆円を超えるだろう渋谷駅再開発をさらに上回る規模になること必至なのだ。
小田急百貨店新宿店本館のすぐ隣にある「京王百貨店新宿店」、さらにその隣にある東日本旅客鉄道(JR東日本)の「ルミネ新宿 ルミネ1」は、「新宿駅西南口地区開発」プロジェクトとして建て替えられる。ただし、こちらで名前が挙がる施工ゼネコンは大成建設ではない。
次ページでは、新宿駅再開発に食い込むゼネコン、不動産デベロッパー、鉄道会社の意外な顔触れ、新型コロナウイルスの感染拡大や資材高の影響を含めた動向をつまびらかにする。