沈むゼネコン 踊る不動産#14Photo:PIXTA

2021年度決算でゼネコンは資材高の逆風を受けて減益ラッシュ。対して不動産大手は増益ラッシュ。ゼネコンと不動産デベロッパーの間に「インフレ格差」が生まれている。特集『沈むゼネコン 踊る不動産』(全20回)の#14では、ゼネコンと不動産デベロッパーの間で広がる格差に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

採算の悪い工事を受注した上に資材高
発注側の不動産デべは増益ラッシュ

 2021年度決算で大手ゼネコンは減益ラッシュ。対して不動産大手は増益ラッシュとなった。ゼネコンと不動産デベロッパーの間に「インフレ格差」が生まれている。

 大手・準大手ゼネコンのうち、とりわけ大林組、清水建設、三井住友建設の3社は「工事損失引当金」を大きく積み増した。工事損失引当金は、手持ちの工事が不採算になる可能性が高まると計上する損失見込み額のこと。3社はかねて、受注した大型工事について業界内で利益率の悪化が懸念されていた。

 さらにインフレで資材が高騰して建設コストが増加し、泣きっ面に蜂の状態である。

 一方で大型工事を発注する側である不動産デベロッパーは、インフレの逆風を受けずに稼ぎを得ている。

 次ページでは、ゼネコンと不動産デベロッパーの間で広がる格差の実態に迫る。