コロナ禍だけでなく、円安や資材高の影響も相まって、多くの業界や企業のビジネスは混乱状態にある。その状況下でも、苦境を打破できた企業とそうでない企業との間で勝敗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はゼンショーホールディングス、吉野家ホールディングス、松屋フーズホールディングスの「牛丼」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
すき家、松屋は好調なのに
吉野家ホールディングスだけ減収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の牛丼業界3社。対象期間は22年2~6月の直近四半期としている。(ゼンショーホールディングス、松屋フーズホールディングスは22年4~6月、吉野家ホールディングスは22年3~5月)。
各社の増収率は以下の通りだった。
・ゼンショーホールディングス(すき家)
増収率:16.9%(四半期の売上高1784億円)
・吉野家ホールディングス
増収率:10.5%(四半期の売上高403億円)
・松屋フーズホールディングス
増収率: 10.8%(四半期の売上高250億円)
※吉野家ホールディングスは収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、同社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適用していない。
牛丼3社全てが10%を超える増収だったが、特筆すべきは吉野家ホールディングスだ。
吉野家ホールディングスは、21年2月期第1四半期からずっと減収だったが、9四半期ぶりの増収となったのだ。一体何が要因でプラスに転じたのか。
次ページでは、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、吉野家ホールディングスの増収要因について詳しく解説する。