最新の決算数字を使って、特集『JR・私鉄「全国376路線」ランキング』(全13回)の#6では、JR・私鉄25社の倒産危険度ランキングを作成した。JR西日本や西武ホールディングスといった、大手が上位を占める波乱の結果に。ワースト1位となったのは阪急系の鉄道会社だった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
円安・エネルギー価格高・金利上昇・収入減
四重苦の鉄道会社「倒産危険度」ランキング
円安が加速し、資源・エネルギー価格が高騰している。内需型産業である鉄道会社には大きなマイナスだ。
さらに追い打ちをかけているのが「金利差の拡大」。欧米の金利上昇で日本の長期金利に上昇圧力がかかっているのだ。そもそも鉄道事業は多くの車両、土地などを必要とする「装置産業」であるため、有利子負債が膨らみやすく、金利の上昇は経営を直撃する。海外では、重債務企業が経営破綻する事例も出てきた。国内でも低金利を前提とした企業経営が今後、苦しくなってくるはずだ。
その上、新型コロナウイルスの感染拡大で、運賃収入の減少にも見舞われている。鉄道事業は固定費が多く、収入減がそのまま利益減に直結する。円安・エネルギー価格高・金利上昇・収入減の四重苦にあえぐ鉄道会社は、まさに猛烈な逆風下にある。
仮に鉄道会社が倒産すると、厄介な問題が起こりそうだ。「廃線になった線路をどうするか、駅舎の取り壊し費用を誰が負担するかなど、撤退コストが桁外れに大きくなる」(大手銀行関係者)からだ。廃線に追い込まれるような沿線の自治体に財務的な余力はまずなく、社会問題になる恐れがある。
こうした状況を踏まえ、ダイヤモンド編集部は2022年3月期の決算数字を使って、鉄道会社「倒産危険度」ランキングを作成した。対象は上場しているJR・私鉄25社だ。JR西日本や西武ホールディングス(HD)といった、大手が上位を占める波乱の結果となった。ワースト1位は阪急系の鉄道会社である。ランキングを確認していこう。